最新の資産形成事情
大きいそれが、玄関の前に立っていた。
近づいて触ってみると、コンクリート製みたいだった。
「あ、そうか…、Sさんだ」私はようやく思いついた。
「これ、Sさんが作ったんです」「パーティ?」Mさんに招かれ、私たちが玄関から入ると、まず、左手には、大きなコーヒーカップが五個乗っかっていた。
「どうやって、ここへ運んだんだろう?」地面を見たが、土台のようなものはなく、地面に四本の脚で立っている。
体長は軽く三、四メートルはあるだろう。
大型のトラックで運んできて、クレーンで吊って設置したのだろうか。
「もしかして、これが、私たちへの?」Tさんは溜息を漏らした。
まだ、感情が表に出ない」という顔である。
玄関のドアが開いた。
「おかえりなさーい」出てきたのは、MY子さんだった。
「あ、どうも」私は思わず頭を下げた。
「申し訳ありません、遅くなりました」「何言ってるの」Mさんは口に手を当て、仰け反った姿勢で笑った。
「さあさあ…」開いた玄関のドアからは、早いテンポのリズムとメロディが流れ出ている。
「何の騒ぎですか?」「パーティよ」私はびっくりして、そちらへ近づいた。
キーボードの女性にほんの僅かに引っかかるものがあった。
どこかで会っただろうか。
さらに近づく。
バンドはずっと演奏を続けていて、その女性もキーボードに両手を置いたまま鉢を揺すっている。
下を向いてしまった。
それでも、気になって、私は屈んで彼女を下から覗き見た。
「あれ?」つくらい。
その中に、Iさんが一人、また別のカップにはYさんとSさんの顔が。
コーヒーカップというのは、つまり、遊園地にあるあれである。
やや小型ではあったけれど、人が乗れる大きさのカップだ。
それがゆっくりと動き、ときどきくるっと回転していた。
一方、右手には、四人の人間が音楽を演奏していた。
赤や緑のライトの中でギターを弾いているのが、Tさんだとわかった。
ほかのメンバーは誰だろう、私にはわからない。
「私がお世話になっている方たちです」耳もとで、T子さんが囁いた。
彼女はバンドのメンバーとしてスカウトされたのだ。
ドラムを叩いている男、それから、サックスを持っている男、キーボードを弾いている女性、と一人ずつ視線を移す。
そのとき、その女性が私を見て、首を傾げて微笑んだ。
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